介護施設のアンケート結果を業務改善につなげる方法|現場で実践する6つのステップ


介護施設では、職員や利用者、家族の意見を把握するためにアンケートを実施することがあります。

しかし、アンケートを実施しても、結果を十分に活かせていない施設もあるのではないでしょうか。

例えば、職員から「必要な物品がすぐに見つからない」という意見が出ても、保管場所が見直されず、同じ問題が続いていることがあります。

アンケートは、回答を集めて終わりではありません。

大切なのは、アンケートで見つかった問題を、実際の業務改善につなげることです。

この記事では、アンケート結果を分かりやすく整理し、介護現場の改善につなげるための6つのステップを紹介します。


1. アンケートを実施する目的を明確にする

まず、何のためにアンケートを実施するのかを明確にしましょう。

例えば、職員アンケートでは、次のような内容が考えられます。

  • 日々の業務で負担に感じていること
  • 仕事を進めるうえで困っていること
  • 職員同士の情報共有で改善したいこと
  • 業務を効率化するためのアイデア

利用者や家族へのアンケートでは、介護サービスへの満足度や職員の対応、施設への要望などを確認します。

目的が明確になれば、アンケート結果から何を改善すべきかを考えやすくなります。

すでにアンケートを実施している場合は、どのような問題を見つけるための調査だったのかを振り返りましょう。


2. アンケート結果を分かりやすくまとめる

アンケートを回収したら、回答を整理して、どのような意見が多かったのかを確認します。

例えば、職員20人に「業務で困っていること」を尋ねた結果、次のような回答があったとします。

困っていること回答人数
必要な物品が見つからない12人
申し送りに時間がかかる8人
記録業務の負担が大きい7人
職員間の情報共有が不足している5人

※複数回答の例です。

このように整理すると、どのような問題を感じている職員が多いのかが分かります。

必要に応じて棒グラフなどを使うと、結果をさらに分かりやすく伝えられます。

ただし、回答人数が多い問題だけが重要とは限りません。

例えば、少数の意見でも、利用者の安全に関わる問題は優先して確認する必要があります。

回答が多い問題と、早急に対応すべき問題の両方を確認することが大切です。


3. 職員や家族の具体的な意見を確認する

アンケートには、選択式の回答だけでなく、自由に意見を書いてもらう項目もあります。

自由記述には、現場の問題を改善するためのヒントが含まれています。

例えば、次のような意見があったとします。

「夜勤中、必要な物品がどこにあるのか分からず、探すのに時間がかかる」

この場合、単に「物品管理に問題がある」とまとめるのではなく、具体的に何が起きているのかを確認します。

  • どの物品が見つからないのか
  • どのような場面で困っているのか
  • なぜ探すのに時間がかかるのか

確認した結果、勤務帯によって物品の保管場所が異なっていたり、保管場所が分かりにくかったりすることが分かるかもしれません。

このように、意見の背景にある原因を確認することで、具体的な改善方法を考えられます。

また、家族から「施設からの説明が分かりにくい」という意見があった場合も、どのような説明が分かりにくかったのかを確認します。

なお、自由記述を職員間で共有する際は、回答者や利用者が特定されないように配慮しましょう。


4. 改善する問題を決め、具体的な対策を考える

アンケート結果から問題が見えてきたら、どの問題から改善するのかを決めます。

すべての問題を一度に解決しようとすると、職員の負担が増え、改善活動が進まなくなることがあります。

まずは、優先順位を決めて取り組みましょう。

例えば、「物品を探すのに時間がかかる」という問題について、次のような対策が考えられます。

問題改善方法
保管場所が職員によって異なる物品ごとの保管場所を統一する
どこに何があるか分からない棚や引き出しに表示を付ける
必要な物品が不足している補充する担当者や方法を決める
使用後に元の場所へ戻されない職員間で保管ルールを統一する

改善方法を決める際には、実際に業務を行っている職員の意見を取り入れることが重要です。

管理者だけで決めるのではなく、現場で無理なく実施できる方法を考えましょう。

また、誰が、いつまでに、何を実施するのかを決めておくと、改善活動を進めやすくなります。


5. 決めた改善策を現場で実施する

改善方法が決まったら、実際の業務で試してみましょう。

例えば、物品の保管場所を統一する場合は、次のように進めます。

  1. よく使用する物品を確認する
  2. 職員が取り出しやすい保管場所を決める
  3. 棚や引き出しに物品名を表示する
  4. 変更内容を職員に説明する
  5. 一定期間、実際の業務で使用してみる

このとき大切なのは、改善策を決めただけで終わらせないことです。

保管場所を変更しても、職員に伝わっていなければ、かえって混乱する可能性があります。

そのため、日勤・夜勤など、すべての勤務帯の職員に変更内容が伝わるようにしましょう。

また、実施してみて使いにくい部分があれば、職員の意見を聞きながら調整します。

最初から完璧な方法を目指すのではなく、実際に試しながら改善していくことが大切です。


6. 改善によって何が変わったのかを確認する

改善策を実施したら、その効果を確認しましょう。

例えば、物品の保管場所を見直した場合、確認したいのは「保管場所を変更したか」だけではありません。

物品を探す時間が実際に減ったのかが重要です。

例えば、同じ物品を取り出すまでの時間を、変更前後で比較する方法があります。

確認項目改善前改善後
物品を探す平均時間3分1分
1日10回探す場合の合計時間30分10分

※数値は説明用の仮定です。

この例では、1日あたり20分の時間削減につながった計算になります。

ただし、時間が短くなっても、物品の取り出しや補充が難しくなったり、安全面に問題が生じたりしていないかも確認する必要があります。

また、数値だけでなく、職員から「以前より物品が見つけやすくなった」といった意見が出ているかも参考になります。

改善の効果が確認できた場合は、その方法を継続します。

十分な効果が得られなかった場合は、原因を確認し、改善方法を見直しましょう。

「改善策を実施したこと」と「実際に問題が改善したこと」を分けて確認することが重要です。


FAQ


Q1. アンケートはどのくらいの頻度で実施すればよいですか?

アンケートの目的によって異なります。

施設全体の課題を把握するためのアンケートは定期的に実施し、個別の改善策については、実施後に短いアンケートや聞き取りで効果を確認する方法があります。

頻繁に実施しすぎると職員の負担になるため、必要な内容に絞ることが大切です。


Q2. 職員からさまざまな意見が出た場合、どのように優先順位を決めればよいですか?

利用者の安全やケアの質に関わる問題を優先して確認します。

そのうえで、職員の負担が大きい問題や、多くの職員が困っている問題などを検討しましょう。

改善しやすい問題から取り組み、成果を積み重ねていく方法も効果的です。


Q3. アンケート結果を職員に伝える際のポイントは何ですか?

回答結果を伝えるだけでなく、どのような改善に取り組むのかを説明しましょう。

例えば、「物品管理に関する意見が多かったため、保管場所を見直します」と伝えると、アンケートが改善につながっていることを職員に理解してもらいやすくなります。


Q4. 改善の効果を数字で確認できない場合はどうすればよいですか?

すべての改善を数字で示す必要はありません。

職員への聞き取りや現場の様子を確認し、困りごとが減っているかを評価する方法もあります。

例えば、情報共有の改善であれば、申し送りの内容が分かりやすくなったか、必要な情報を確認しやすくなったかなどを確認します。


まとめ

介護施設のアンケートは、職員や利用者、家族が感じている問題を把握するための大切な手段です。

しかし、回答を集計するだけでは、現場の問題は解決しません。

アンケート結果を業務改善につなげるためには、次の流れが重要です。

  1. アンケートの目的を明確にする
  2. 回答結果を分かりやすくまとめる
  3. 具体的な意見から問題の原因を確認する
  4. 優先する問題と改善方法を決める
  5. 現場で改善策を実施する
  6. 改善の効果を確認する

アンケートで見つかった問題を一つずつ改善し、その効果を確認することが、介護現場の生産性向上につながります。

まずは、直近のアンケート結果から、現場で困っていることを一つ選び、具体的な改善方法を考えることから始めてみましょう。


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