介護施設の業務改善|生産性向上7つの視点+職員の働きやすさ向上策
近年、介護業界では慢性的な人材不足や業務負担の増大が課題となっており、介護施設の生産性向上が急務となっています。効率的な業務運営だけでなく、介護職員の身体的・心理的負担の軽減、モチベーション向上、エンゲージメント強化を実現することで、職員の定着率向上や利用者サービスの質の向上につなげることが重要です。
厚生労働省の『生産性向上に資するガイドライン』では、介護施設の生産性向上を実現するための7つの視点が示されています。しかし、現場の実態を考慮すると、これらの施策に加えて、介護職員の心身の負担軽減や職員のモチベーション向上が不可欠です。本記事では、介護施設における生産性向上のための仕組みについて、厚生労働省の指針を踏まえながら、ハンドレッドライフが推進する+αの視点を交えて解説します。
目次
1. 介護施設の生産性向上の重要性
1-1 介護施設における生産性向上の背景
1-2 生産性向上のメリット
2. 介護施設の業務改善|生産性向上を支える7つの取り組み
2-1 職場環境の整備
2-2 業務の明確化と役割分担
2-3 手順書の作成
2-4 記録・報告様式の工夫
2-5 情報共有の工夫
2-6 OJTの仕組みづくり
2-7 理念・行動指針の徹底
3. 生産性向上の鍵!負担軽減・モチベーション・エンゲージメントが不可欠な理由
3-1 身体的負担軽減の必要性
3-2 心理的負担軽減の必要性
3-3 モチベーション向上の必要性
3-4 エンゲージメント強化の必要性
4. 介護施設の生産性向上を加速する+αの施策|負担軽減&モチベーションアップの具体策
4-1 身体的負担軽減のための施策
4-2 心理的負担軽減のための施策
4-3 モチベーション向上のための施策
4-4 エンゲージメント強化のための施策
5. 改善活動ステップ
5-1 改善活動の準備
5-2 現場の課題を見える化
5-3 実行計画の立案
5-4 改善活動
5-5 改善活動をチェック
5-6 実行計画を見直し
6. ハンドレッドライフによる生産性向上活動におけるポイント
まとめ
<参考>ハンドレッドライフによる介護施設における生産性向上活動サポート

1. 介護施設の生産性向上の重要性
1-1 介護施設における生産性向上の背景
・人材不足の深刻化:介護業界では慢性的な人材不足が続き、一人あたりの業務負担が増大。
・業務の多様化:介護業務だけでなく、記録業務やシフト管理などの間接業務も増加。
・サービス需要の増加:高齢化に伴い介護サービスのニーズが拡大し、限られた人材で対応する必要性
が高まる。
1-2 生産性向上のメリット
・業務の効率化:業務の標準化やICT活用により、業務の属人化を防ぎ、効率的な運営を実現。
・職員の負担軽減:ムリ・ムダ・ムラを削減し、職員が本来の介護業務に集中できる環境を構築。
・サービスの質向上:働きやすい職場環境が整備されることで、利用者へのケアの質も向上。
2. 介護施設の業務改善|生産性向上を支える7つの取り組み
厚生労働省の「生産性向上に資するガイドライン」では、介護施設の生産性向上を実現するために、
以下の7つの視点を示しています。
2-1 職場環境の整備
・5Sの視点で安全な介護環境と働きやすい職場を整備する。
2-2 業務の明確化と役割分担
・業務の明確化と役割分担の見直しにより、「ムリ(過剰な負担)、ムダ(不要な作業)、
ムラ(ばらつき)を削減して、最適な業務の流れを作る
2-3 手順書の作成
・理念やビジョンをもとに職員の経験値、知識を可視化・標準化することで、若手を含めた職員全体の
熟練度を養成する道筋を作る。
2-4 記録・報告様式の工夫
・項目の見直しやレイアウトの工夫などにより、情報を読み解きやすくする。
2-5 情報共有の工夫
・ICTなどを用いて転記作業の削減や、一斉同時配信による報告申し送りの効率化、情報共有のタイム
ラグの解消を図る。
2-6 OJTの仕組みづくり
・日常業務を通じた人材育成の仕組みを作る。職員の専門性を高め、リーダーを育成するため、教育
内容の統一と指導方法の標準化を図る。
2-7 理念・行動指針の徹底
・組織の理念や行動指針に基づいて、自律的な行動がとれる職員を育成する。
<参考>介護分野における生産性向上ポータルサイト
3. 生産性向上の鍵!負担軽減・モチベーション・エンゲージメントが不可欠な理由
介護施設の生産性向上には、厚生労働省の「生産性向上に資するガイドライン」に基づく7つの視点に加え、身体的・心理的負担の軽減、モチベーション向上、エンゲージメント強化が不可欠です。その
理由を以下に説明します。
3-1 身体的負担軽減の必要性
介護職員は、利用者の移乗や排泄介助、長時間の立ち仕事など、身体的負担の大きい業務を日常的に行っています。この負担が蓄積すると、腰痛や関節痛などの職業病を引き起こし、最悪の場合、離職につながる可能性があります。また、身体的負担の増加は、業務の効率性を低下させる要因にもなります。
3-2 心理的負担軽減の必要性
介護業務は、利用者やその家族とのコミュニケーション、夜勤の負担、精神的なプレッシャーなど、心理的な負担も大きい仕事です。ストレスが蓄積すると、職員のモチベーション低下や燃え尽き症候群(バーンアウト)の原因になり、結果としてサービス品質の低下や職員の離職率上昇につながるリスクがあります。
3-3 モチベーション向上の必要性
介護職員がモチベーションを持って働ける環境を整えることは、サービスの質を向上させるだけでなく、職員の離職防止にもつながります。モチベーションが低下した状態では、利用者への対応が形式的になりやすく、職場の雰囲気も悪化する可能性があります。適切な評価やキャリアアップの仕組みがないと、職員が成長を実感できず、仕事への意欲が低下するリスクがあります。
3-4 エンゲージメント強化の必要性
エンゲージメントとは、職員が職場に対してどれだけの愛着や貢献意欲を持っているかを示す指標です。エンゲージメントが高い職員が多い施設では、職員同士の連携が強化され、チームワークが向上します。また、職員が「この施設で働き続けたい」と感じることで、定着率が向上し、安定した運営が可能になります。エンゲージメントが低いと、離職率が高まり、職場の雰囲気も悪化するリスクがあります。
4. 介護施設の生産性向上を加速する+αの施策|負担軽減&モチベーションアップの具体策
上記の課題を解決するために、介護施設が取り組むべき具体的な対応策を紹介します。
4-1 身体的負担軽減のための施策
・介護ロボット・福祉機器の活用:移乗支援ロボットや電動介助機器を導入し、職員の身体的負担を
軽減。
・作業負担の分散:シフト調整や業務分担を見直し、特定の職員に負担が偏らないようにする。
・職員の健康管理の強化:ストレッチや体操の導入、定期的な健康診断を実施し、職員の体調管理を
サポート。
4-2 心理的負担軽減のための施策
・メンタルヘルスケアの導入:定期的なストレスチェックやカウンセリングを実施し、職員のメンタル
ケアを強化。
・ワークライフバランスの見直し:夜勤負担の軽減や、休暇の取得促進により、職員の働きやすい環境
を整備。
・コミュニケーションの円滑化:職員同士の相談しやすい環境を整え、心理的負担を軽減。
4-3 モチベーション向上のための施策
・キャリアパスの明確化:職員が成長を実感できるよう、昇進・昇給の基準を明確にする。
・研修制度の充実:スキルアップ研修や資格取得支援制度を導入し、職員の成長を支援。
・適正な評価制度の導入:職員の努力や成果を適切に評価し、モチベーション向上につなげる。
4-4 エンゲージメント強化のための施策
・理念・ビジョンの共有:施設の理念や目標を職員全員と共有し、組織としての一体感を醸成。
・チームワークの強化:職員同士が協力しやすい環境を作るため、定期的なミーティングや意見交換
の場を設ける。
・福利厚生の充実:職員の満足度を向上させるため、職場環境の改善や福利厚生の充実を図る。
5. 改善活動ステップ
5-1 改善活動の準備
・改善活動に取り組むプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトリーダーを決める
・経営層から事業所全体への取組開始を宣言する
・取り組みの背景を理解し、取組意欲を高める
5-2 現場の課題を見える化
・現場職員へのヒアリングやアンケートを実施することにより業務課題を見える化し、取り組む課題を
洗い出す
5-3 実行計画の立案
・解決する課題を絞り込み、プロジェクトチームで意見交換を行うことで、優先的に取り組むべき課題
を決定する
・課題解決のために必要な取組内容や職員の役割を決定する
・具体的な計画を立てる
・KPI(重要業績評価指標)の設定する
・助成金・補助金の活用の検討
5-4 改善活動
・試験的導入(パイロット運用)など改善活動に取り組み、職員のフィードバック情報収集を行い
問題点の把握をし試行錯誤を繰り返す
5-5 改善活動をチェック
・取組の途中経過を把握し、改善活動におけるゴールを達成するために必要な軌道修正を図る
5-6 実行計画を見直し
・上手くいった点、上手くいかなかった点について分析を加える
・優先度が低いと位置付けた課題を含め、改めて取り組む改善活動を検討する
6. ハンドレッドライフによる生産性向上活動におけるポイント
・自施設外の専門チームによる業務課題の客観的な見える化を実施。内部では気づきにくいボトル
ネックを外部視点から抽出します。
・7つの取り組みに加え、職員の身体的・心理的負担、モチベーション、エンゲージメント状態を把握
するための職員向けアンケートを実施し、業務課題の見える化を推進。
アンケート結果から業務のムダを特定し、業務フローの見直し、役割分担の最適化など具体的な業務
改善施策を提案
・「改善活動の準備〜実施・チェック〜見直し」において、業務標準化、KPI設定、効果検証のサポートを実施
・ICT・福祉用具メーカーとのアライアンスを活かし、「介護記録のデジタル化」「移乗支援ロボットの
活用」など、最新技術を活用した改善策を提示
・職員の身体的・心理的負担の軽減、オンライン研修ツールの導入によるモチベーション向上・
エンゲージメント強化を支援し、職場環境の継続的な改善をサポート
・低コストにより助成金、補助金の活用をサポート
まとめ
介護施設の生産性向上を実現するためのポイント
✅ 厚生労働省のガイドラインに基づく7つの取り組み
✅ 身体的・心理的負担軽減 / モチベーション / エンゲージメント強化
✅ PDCAサイクルを活用し、継続的な業務改善を推進
介護施設の生産性向上は、職員の負担軽減・業務効率化・サービスの質向上につながります。まずは、小さな改善から始めて、継続的な改革を推進しましょう!
<参考>ハンドレッドライフによる介護施設における生産性向上活動サポート
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